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思想の実装とそのコンセプト

〜 どういう掲示板を作るか 〜


というわけで、第2〜4回のコラムでだらだらと私的掲示板論(というかインター ネット論)を語らせてもらったわけですが、それらをどういった形で掲示板 システムに反映させるかといった事について語ってみたいと思います。 要するにまとめといったところですね。また、今回作成した BBS システムが どういった目標をもっているかといった種明かしにもなります。 いや、実際作った掲示板はかなりふつーになってしまいましたが(笑)。

■ 目指す掲示板コンセプト

まず最初のコンセプトとして、掲示板で最も重視するのはアーティクルです。
掲示板であるわけですから書き込みが重要なのは当然ですけれども、その 書き込みに優劣があるわけでなくどれも等しい価値があるとして扱います。 読み手にとっての価値、つまり書き込みの内容はここでは考えません。
位置的に等しいアーティクルという文章がたくさん存在し、データベースと なっているのが掲示板と捕らえます。

アーティクルは単体で存在しますが、他のアーティクルとなんらかの参照関係 を持ちます。これをリンカブルであると言います。
最も手近な参照関係は、特定アーティクルに対する返信「レス」になります。 LimoBBS では返信される側を「親記事」と呼び、返信記事を「返信」もしくは 「子記事」と呼んでいます。
実はこの特定記事への返信、というのが掲示板における最も基本的な構造で あると思っています。ですので、アーティクルは個別に存在しているという 前提がありつつも「親記事」「返信」というリンクは特別扱いで機構に組み 込んであります。

親記事が必ず同じサーバーにあるとも限りません。他の掲示板記事やニュース 記事に対して親記事リンクを張って話を展開させることも考慮します。
また、同等の考えから、他サイトにある記事へリンクを張ってそれにコメント をするといった構造を重視します。そのため、親記事や参照は URI を基調と しています。

親記事が一つでない可能性もあります。複数の記事を親に持った派生の話題 というアーティクルがでてくる可能性があります。親記事が複数持てるという のも良いのですが、ツリー等で関連を調べる際混同する可能性があります。
この件に関しては、親記事は一つで他の親記事は参照ということではいかが でしょうか。同じように、関連しているんだけど違う新しい話題(ブランチ)を 発生させるのにも「参照」が使えると思います。

リンクがバシバシ張られるアーティクルは有用な記事なんだと思います。
逆に他から参照されず、レスすらつかないアーティクルは無用なものだった んだとして埋もれてしまうことを期待します。そういった、人気数による アーティクルの篩い分けを実現するためにもリンクという構造は重要で あると考えます。

■ 他掲示板システムへの提案

今後他の人の手によって産み出される多くの BBS システムに対し提案したい 事項があります。それは

「掲示板内の個々のアーティクルに対し、それを URI で指定して表示できる 仕組みを導入していただきたい」

という事であり、それ一点のみです。

多くの日記システムやニュースサイトでは、日単位や記事単位でアンカーが 用意されており、他の日記等からその特定の記事をポインティングできる 様になっています。これだけでいいのです。これだけあれば「他の掲示板で 見たんだけど」というタレコミがグンとやりやすくなります。また、同一の 掲示板内に無くても、リンクによる指摘で論議を行うことができるでしょう。
なにより、書き込みに流されて埋もれたアーティクルでも有用であったら 他所からのリンクにより活かすことができるようになります。

LimoBBS システムにおいては、URI 引数として ?ID=123 というように、 ID 番号を指定するとそのシリアルナンバーを持ったアーティクルを指定で 表示できるようになっています。
また、その直接指定をする URI は掲示板 View のシリアルナンバーの所に アンカー指定で埋め込んであります。

おそらくこの「特定アーティクルのリンク」が存在するだけで、外部から 参照が可能になり「閉じた掲示板システムでなくなる」と思います。
後は、掲示板の中でも積極的に外部へのリンクを張って盛り上がれれば よいわけですよ。

■ Limo BBS システムとはなんだったのか

Limo BBS システムは私にとっての実験場でした。
実際に稼働してはいますが、これからもいじり続ける手頃な実験システムで あり続けるのではないかと思います。ですから、真に目指すところまでたどり つけていないかもしれませんし、富豪的プログラムでリソース食いまくりでも それはそれでよかったりします。
色々と考えて提唱したかったのはリンカブルな掲示板というその概念だけで あり、実際のコードやシステムは皆様の手で良いものを作り出してほしいと 思います。私のコードはあくまで話を始めるための元ネタでしかありません。
あんまり実装にこだわっていなかったのはその辺りだったりします。

私自身としてはとりあえずある程度モジュール化していて手軽にいじくること のできる BBS ソースが手に入ったので満足です。
実際にいくつかビューを作ったり提供してもらえたりしたように、追加実装は それなりに手軽にできると思いますので、みなさんも是非オレ BBS 作成に チャレンジする際は色々と使ってやってくださいまし。


Apr.13.2002 れろれろ@ふみ (rero2@yuumu.org)