「メーカーのホームページに掲げられている『ゲーム内容の二次利用について』 を参考にするのはどうでしょう。」
残念ながら、このとき求めていた答えは違うものだったのですが、この
意見から見えてきたものがありました。
コンテンツや芸術作品には二次利用という形態があり、むしろそちらの
方が利用権利として重要なのです。
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(*1) xkanon の作者であり xvn-devel ML の運営者 (jagarl@creator.club.ne.jp)
同人誌製作といった二次利用に対し明確なボーダーラインを設置し、 同人活動を公に認めたのです。
これとほぼ同時に「リーフ出たがり宣言」と称し、色々な同人誌即売会に
Leaf御大が出展することをチラシ(*2)にて明言しました。(*3)
著作権に関し曖昧でアンダーグラウンド的だった同人世界において、
それを前提とした規約が存在することは福音たるものでした。また、
Leaf作品においては自由に同人活動を行って良いと言われたようなもの
でしたし、Leafのゲームは二次創作として世界を膨らませることが楽しい
ほど良くできた作品でした。
その後、似たような規定を定めたブランドも幾つかありますが、
Leaf以外で最も大きな成功を納めたのは「ONE〜輝く季節へ〜」のTactics
と「KANON」のKeyでしょう。
これらタイトルはゲームの人気と相まって爆発的な同人活動の広がりを
見せることとなります。
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(*2)初回版「To HEART」に同梱されていました
(*3)現在はブランド規模が大きくなりすぎたためLeaf自身の出展は
無くなりました。コミケットでの紙袋など名物ではありましたが
行列の元でもあったのは確かです。
ですけれども、面白い映画を見た後とか、すごくためになる本を読んだ
ときなどどうしても他の人に教えたくなりますよね?
そして、同じ映画を見た友だちとその映画の凄さを語り合うことはこれ
また楽しいものですよね?
二次創作的同人活動はそういったコミュニケーション形態の一つです。
自分の好きなアニメのキャラは自分の手でも描いてみたいというのは
ファンとしての当然の欲求です。そしてそれを他の人に見てもらう事や
その絵を元に一次配布物(ここではアニメ)について熱く語り合う事は
その次に当然訪れる事象でしょう。
そういった個人レベルでの二次創作物を集めフリーマーケット的に
配布するのが同人誌即売会といわれるものです。夏と冬にビッグサイトで
行われる「コミックマーケット」が最も有名で大規模ですが、様々な
規模でいろんな即売会が開かれています。
念のために書いておきますが「同人活動=二次創作活動」ではありません。 オリジナルと呼ばれる一次創作活動をしている方々もたくさんおられます。
ここで同人誌世界の面白さが顕著に現れます。
各二次創作者はキャラクターを元に、その世界観を保持しながらオリジナルな
世界を作っていきます。たとえどんな世界であってもキャラクターが逸脱
しておらず、おおよそ想像の付く行動を取っていれば良いわけです。
そのことが、ゲームという一つの完成した世界をさらに引き延ばし、より
広く完成度の高い世界を構築して行きました。
SSと呼ばれる二次創作小説において一次創作物の時間軸前後の物語が多く
描かれているあたりがわかりやすい例でしょうか。
そういった二次創作によって広げられた世界は通常的にはそこで潰えるもの
ですが、あまりにも情報の共有者が多い場合は暗黙の了解的に広がり、
最終的には一次創作と並ぶ情報となり得ました。
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(*4)ときめきメモリアルが絶頂のころ。
To HEART の直前には True Love Story、そのちょっと前には
Piaキャロットへようこそ! といった良作が産み出されており、
それら作品は相互に影響しあっていた形跡があると思います。
(*5)
http://www.mirai.ne.jp/~gotop/
実際には氏は痕からLeaf作品をプレイしており初出のCGも痕のものでした。
ここでは影響力の大きさということで例題とさせていただいております。
このことは PlayStation版「To HEART」の綾香シナリオでも同等と 言えるかもしれません。
かなり前の話になりますがニュースグループの fj.rec.games.video.characters
にて鬼塚氏(*6)が以下のようなポストをしたことがあります。
(原文うろおぼえ)
「ゲームをプレイする、楽しむ、面白かったので人に薦める、他の人と
面白さについて語り合う、ゲームを元に二次創作を行う、その二次創作を
販売等で広める、より多くの人とゲームについて語り合える、どんどん
世界が広がっていく。これら全てが『ゲームを遊ぶ』という事である」
この文を読んだときには後頭部を殴られたような衝撃に駆られました。
まさにこの通りだと思うからです。
そしてゲームコンテンツにおけるオープン形態というのはまさにここに
あるのではないかとも思うわけです。
ただし、現状その発端となるゲームというのは多くのプレイヤーのココロを
打ったものでありそれにしかオープンコンテンツの可能性が与えられない
わけであります。そういったタイトルは年に数本出るか出ないかといった
状況であり、現状年に1000タイトル近く発売されていることから狙ってできる
事じゃないという難しさはあります。
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(*6)
http://plaza.harmonix.ne.jp/~onizuka/welcome.html
fj.rec.games.video.characters の設置提案者
なんにせよゲームはオープンだから支持されるというものではなく、 それ以前にコンテンツの良し悪しから始まるというのが厳しいところです。
プレイヤー側としては個人的に面白いゲームに出会えたらそれをどんどん
宣伝しちゃいましょう、できれば同人活動もガンガンしましょう。
そしてその同人活動を一次創作者に認めてもらえる様にしていくというのが
今現在できることなのではないでしょうか。