よりインターネットらしい BBS とはなにか、どうあれば面白くひろがって
いくのかを模索してみます。
さて、情報が身近になったとしてなにがうれしいのでしょうか。いや、ちょっと
質問を変えましょう、どのような情報が即座に利用できるからうれしいの
でしょうか。
ありとあらゆる大衆を目的としてそのために情報操作もありえるマスメディア
コンテンツを享受できるからうれしいのでしょうか、というと微妙に違いますね。
企業の都合押しつけであるコマーシャルコンテンツをいつでもどこでも見せつけ
られるというのも違います。
あくまで自分が求める情報が、必要なときに即座に手に入るからうれしいの
ですよね。
で、この自分が求める情報、楽しい情報、というのがなんなのかというのが
問題なのですけれども、ここでは「人との語らい」という事にしておきます。
ネットの向こうに居る人とのコミュニケートが最も楽しいのであり、そのために
ネットワークがユビキタスであって欲しいのです。
なんでもありの暴言放題な場所として人気を高め、社会現象とも言われる
掲示板ですがここ 2年はユーザー間による慣習的協定と自主的自治によって
すっかり落ち着いた存在になりました。読み手としても慣れたというのも
あるかもしれませんが、暴言がもてはやされるような事は無くなり
コミュニケーションの場として存在しています。それでも、独特の空気と
文法がありますので外から見ていると荒々しく見えるかもしれませんし、
わかっていても馴染めない人もいると思います。
なぜに2ちゃんねるがこうも人を寄せ付けるのでしょうか。それはスレッド
式だからでも、匿名性だからでもないと私は思います。その理由は単純に
ただひとつ「そこに人が集まっているから」じゃないでしょうか。
いつ行っても人が居て何かしらレスがのびている。人がいっぱいいるから
板もたくさんあるしスレッドもたくさんある。書き込みが多いから楽しい、
だからどんどん人が集まる。人が集まるから板が増える。そんな単純な
スパイラルなのです。それであまりにも人が集まりすぎて自重崩壊を
起こしかけているというのも皮肉な状況ですね。
そこまでして2ちゃんねるでなくてはならないのでしょうか。これは結構
複雑な問題です。2ちゃんねると同様の場を提供することは誰にでも
可能ですが、2ちゃんねるに参加しているのと同じだけの人数をそこに
集めることは現状不可能でしょう。
この一極集中の状況を見て最盛期のパソコン通信BBS を思い出さずには
いられません。NiftyServe や PC-VAN、人が集まるので書き込みが多い、
書き込みが多いので人が集まる、人が集まるので [板/SIG/フォーラム]が
増える、システムが肥大する。
そして運営面の色々なゆがみも出たりするわけです。
そんな中、ある意味革命的な改良がなされました。システムの改良により、
スレッドだけでなく、スレッド内の記事を表示する範囲を指定することが
できるようになったのです。突然できるようになったわけでなく、夜間の全表示
抑制から、100記事単位の表示、最新50記事の表示、任意範囲の表示と段階を
追って拡張されたので「革命的」というのが妥当かどうかはわかりませんけれ
ども。
ですが、この改良がちょうど個人ニュースサイトの隆盛と重なったことで
独特のリンキングが行われる様になってきました。それまでは「このスレッドが
熱い」という紹介しかできなかったのですが、この記事範囲の指定とそれを
含めたリンクが可能となったことにより「このスレッドの >>62 さんの書き込み
がすげえ」といったより具体的なポインティングが実現したのです。
これによって2ちゃんねるの記事群が大規模なテキストデータベースと化し、
外部からそれをポインティングするといった構造ができあがりました。
ニュースサイト側からみると「おいお前らこの記事みてください」といった
構造で、ニュースサイト間はそれぞれに連携しているのでそれゆえに、
2ちゃんねるという巨大テキストデータベースが WEB の中に取り込まれた
といっても良いでしょう。
掲示板内部では外部のサイトへのリンクを書き込む事ができるわけですから、 直接的ではないものの、緩やかなハイパーリンクの構造が掲示板に持ち込める ことを示しています。
※現在の2ちゃんねるでは掲示板内からの直接リンクは一旦広告ページに 飛んでから間接的に飛んでくるので、Referer を見てもどの記事から飛んで きたのがわからなくなってしまいました。リンクを張られた側にとって 元記事がわからなくなってしまった事は大きな損失であり、まことに残念な事です。
たしか「任意たん」のセリフだったと思うのですが「こんな奴がイタイ」という
一つとして「お気に入り絵描きの掲示板を日記代わりに使うヤツ」というのが
あり笑った覚えがあります。でもそれはやってはいけない禁じ手なのでしょうか。
記事間にリンク構造が生じ、読者の目的記事とそうでない記事がちゃんと
選別できるならば問題ないのではないかと思います。掲示板の中に管理者以外の
日記を許容できるシステムというのも検討していく道なのではないのでしょうか。
従来のシステムでそれが迷惑なのは、話題の中に紛れ込むからですよね。
そうでなくさいしょからそれが別話題として分離されていたら許容できるのでは
ないかと思います。2ちゃんねるでのスレッドが大分近い概念ではありますけど。
かつてパソコン通信掲示板のころ、草の根 BBS は知った仲間内の寄り合い所で あることが多かったのですが、ある程度人が増えるとコミュニティーが分裂したり シスオペが疎外されてしまったりして、閉鎖分離するところも少なくはありません でした。インターネットになってからは話の場を移動という事がやりやすくなった ので表だってはいませんが、まあ同じようなものだと思います。
「リンクあってこそのネットワーク」という事になります。
「掲示板システムにももっとリンキングによる分散化を」
個々人の発言記事は個人のマシンの中にあって、それを P2P でリンキングする という掲示板システムもある意味理想かもしれません。でもまだまだダイヤル アップ接続の人も多いですから、サーバクライアントシステムはしばらく続く でしょう。それ以前により多くの人に使ってもらうためには、多くの人が利用 しているシステムであることが必要でやっぱりまだまだ「HTTP + WEB Browser」 だと思うし、その枠組みで動く「WEB 掲示板」なんではないかと思う次第です。