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リンク先を記録するというアイディア
〜 Active Footmark の提案 〜
文章がより積極的にリンキングしていく形態を目指し、掲示板に付加する
新しい要素として、自動的にリンクを告知するシステムを提案する。
■ リンクと分散化と掲示板
これまでに WEB 掲示板のもつ孤立性を論じ、もっと外部への情報リンクを
図ることで掲示板は WEB という仕組みの中に組み込まれ、より発展するの
ではないかと提唱してきた。
一つの掲示板システムとその記事に対して、内からも外からも自由にリンク
を張ることができ、記事やコンテンツ間を自由に行き来できるようにしよう
ということである。簡単に言えばリンクを張りまくれる掲示板にしようと
言っているに過ぎない。他所の掲示板にあるコメントや画像などに対して
リンクをはり、返信をしてもいいじゃないかというその形式自体は既に
WEB 日記等で見られる事も述べた。
そういった WEB 日記やニュースサイトのような緩い情報リンクを持ち込んだ
として、それだけでは不便なところも多少ある。リンクを張られたとして、
そのリンクに気が付くかどうかという点である。
これまでに提唱してきたリンク先リンク元の相手は、別に掲示板とは
制限していなかった。通常の WEB ページであってもいいし、日記であっても
ニュースであっても良いと思っている。
でもそれだと話が膨らみすぎるので、ここでは掲示板システム間における
リンクのやり取りに話を限定させていただく。まずは最初の提案からで、
応用や考察はまた別の機会に。
■ referer とアクセスログ
現在の WEB(http) における被リンクを確認する一般的な手段は、http server
のアクセスログを覗いてそこに記録されている referer レコードをチェック
することだろう。WEB日記を付けている人も多くが何らかの手法でアクセスログ
を入手し、そこにある referer で自分の日記に対するツッコミを見つける
はずである。
このアクセスログという形式はそんなにスマートな物ではないと思う。
まず第一に、ある程度の権限を持つ管理者でないと容易に入手することができ
ないあたり。レンタルサーバーによってはログを提供してくれないので、
動的日記システム(cgi)のログ機能に頼らざるを得ない。
第二に、アクセス数によっては莫大な情報量となり、その中から所望する情報
を抽出するのが困難になる。これはログファイル解析ツール等で幾分軽減は
されるものの、それでも大量の情報を閲覧者が処理しなくてはならない。
第三に、アクセスログという情報がコンテンツと切り放された情報になって
いるのである程度の量になってくるとその二つの情報を閲覧者がリンキング
することが負担となってくる事。
だけれども、現状アクセスログが唯一の情報であるがゆえにそれに頼らざるを
得ない状況となっている。
そこで、テキストコンテンツとリンク情報をひとまとまりにする方法はないかと
発想していくわけである。
■ Active Footprint の提唱
掲示板の記事において、その記事がどこからリンクされているかという情報を
記事の情報として持つと同時に、リンクしましたよということを自己申告する
ような仕掛けがあると良いのではないだろうか。
そう、リンクする側が元記事に向かって「リンク張りましたよろしくお願いします」
とメッセージを送る、すると張られた側は「おうそうか、了解」と相手方の
URI を自分の記事内の「ここからリンク張られています情報」として記録する
わけだ。
その referer メッセージは httpd の referer である必要は無くて、大抵は
一回申告するだけで事がすむ筈である。そう、つまり、記事投稿の際に
リンク張りました申請をすれば良いのである。
これがあると元記事がどこからリンク張られたのか即座にわかるし、相手先の
記事を見落とす必要も無くなるので返信もしやすくなるという目論見。
■ 具体的な実装例
取り敢えずインターネットプロトコルの拡張とかは無しであくまで http ベース
の掲示板システムの上として検討。
記事がポストされたら記事の中から reference URI を探しだしキューイング
する。その URI のひとつひとつに対し、リンク報告の URI 引数を付けて
http READ。引数はこちらの URI と記事番号、&from=〜&fromid=nnn とか。
相手方の記事番号も同時に指定しているだろうからかぶらない引数名で。
被リンク側は通常の記事表示リクエストの際、&from=〜 といった引数が
ついていたらリンク報告であると判断、報告された URI を referer log に
追加してリンク報告ごくろうさんメッセージを http READ に返す。
リンク側はリンク報告の http READ を待つ。このときごくろうさんメッセージ
が返ってこなかったら通常ページへのリンクとみなすこともできるが、
特に判別する必要もないかと思う。
キュー内全部の URI に対して同じアクションを繰り返して終了。
大体こんなイメージで被リンク記事は「あ、リンクされたんだな」とその
リンクを張ったページを知り記録する事ができるんではないかと。
その記録を表示するかどうかはシステム次第。
なんかどっかの日記システムで似たようなログの取り方する奴があったような
気がするんだけど失念。
■ 問題点
同一の仕掛けを持ったシステム間でないと有効にはならない。
まあ、それは当たり前として。
ネットワークセキュリティ的に結構問題が多々あると思われる。
まず、リンクを伝えて来た報告先が悪意のあるサイトだった場合。リンクの
記事も無いのに「リンクしたよー」というリクエストだけ送ってきて、
なおかつその URI が悪質な広告ページである、といった悪用例が考えられる。
広告でないにしても、クロスサイドスクリプティング的弱点を利用した URI を
送りつけられたらそれを記録し、さらす事になるだろう。
また、「リンクしたよ」という宣言を発する側においては、referer URI を
すべて http READ するのでその分負荷がかかる事になる。この際、URI 先が
不正なほどサイズが大きくかつ一般のページやファイルであったりすると
システムを圧迫することは明白である。
アイディア的には面白そうなんですが結構難しいもので。
でも、善意の運用を前提として実装してみても良いのかも。
■ 発展例
掲示板システムのようなアクセスの度に起動する cgi システムの場合、
httpd からの referer をその都度チェックして記録するという事も可能かと
思われる。
誰でも参照可能なアクセスログといった形式だが、特定アーティクル(1記事)
へのリンクに対してのみの記録するとかにすると、referer が記事の持つ情報と
なり、ベタのアクセスログに比べて大きな意味を持つことになる。
それをやったときのサーバー負荷というのも考慮しなければならないとは
思うが、そのうちマシンの進歩で解消されそうなので問題ではないかもしれない。
■ まとめ
こういったよりアクティブにリンクを張ってそれを主張していこうという
思想は実は WEB 的には正しくないことかもしれない。どこからリンクが
張られているのかわからない、といった緩いつながりはデメリットだけなく
メリットをも持ち合わせているからだ。
見なかったフリによる「優しい無視」ができないからこそ従来の閉鎖型掲示板
では論争がおきたり荒らしが発生したりするのではないかと思う。
取り敢えず今回は思いついたことを書き留めておくまでに。
May.10.2002 れろれろ@ふみ (rero2@yuumu.org)